第3回目【ストレスの歴史②ホメオスタシス】

カウンセラー
やまもと

こんにちは。紫竹カウンセリングオフィスのカウンセラー山本春香です。ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

このブログでは、主に「こころと体の健康」をテーマに、日々の生活の中で役立つトピックスをお伝えできればと思っています。ときどき、ちょっと難しい専門的な内容もありますが、ブログに登場する猫たちと一緒にお付き合いいただければと思います。

第2回目は「ストレス」テーマに、その研究の始まりをお話ししましたね。第3回目は引き続き「ストレス」をテーマに「ホメオスタシス」についてお話ししていきたいと思います。今回は、ストレスに直面したときに生じる私たちの体の中の反応や働きを説明していきますので、生理学の観点から理解していく必要があります。もし内容が「難しいな」と思ったら太字のポイントだけでも一読してみてくださいね。

生物が危機的状況に遭遇して闘争-敗走反応の状態にあるとき、自律神経では交感神経が優位になって過覚醒モードになるんだったね。でも、ずっと過覚醒モードだとこころも体も疲れてくるんじゃない?

カウンセラー
やまもと

そのとおりなのです。自分の身を守るために過覚醒モードになることは必要ですが、長期間この状態を維持することは心身ともに疲弊していくことにつながります。そのため、生物は過覚醒モードになった後は、リラックスモードに入って休息を取ろうとします。私たちも緊張する出来事が終わったらほっとして体の力が抜け、急に眠くなったりしますよね。休息によって疲労が回復すると、心身ともに平常時の状態へと戻っていきます。このように、生物には体の状態を一定に保とうとする働きがあります

ストレスによってホメオスタシスが乱れる

アメリカの生理学者キャノン(W.B. Cannon)は、1932年に「闘争-敗走反応」を提唱しました。危機的状況に遭遇したときに「闘争-敗走反応」が生じることで、体にさまざまな変化が生じて過覚醒モードになるのでした。実は、この理論には続きがあります。

それが、「ホメオスタシス(恒常性)」です。「ホメオスタシス」とは、生物においてその内部環境(体内)を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことを指します。例えば、私たちの体温、血圧、脈拍、体内のpHなどは、概ね一定の数値内にあります。一時的に発熱していても、汗をかくことで体温が下り、いずれ平熱に戻りますよね。このように、体を一定の状態に保とうとする働きがホメオスタシスです。

ホメオスタシスには3大システムがある!

生物の体を一定の状態に保つには、①自律神経、②内分泌、③免疫の3つが相互に作用して成り立っています。この3大システムを司っているのは脳です。一つずつ、見ていきましょう。

①自律神経

神経には役割によって、運動神経、感覚神経、自律神経の3つがあります。このうち自律神経は、血圧や呼吸数などを調節している神経系のことを指します。自律神経系は体の全身に分布していて、交感神経と副交感神経の2つがあります。

交感神経活動、意欲、不安、恐怖、興奮、過覚醒の状態
 例)スマホ、ゲーム、スポーツ、おしゃべり中など
副交感神経リラックス、休息、安心、穏やかな状態
 例)睡眠、ストレッチ、マッサージ、ぼーっとしているとき

交感神経が優位になると、副交感神経が自動的に働いて、体内のバランスをとろうとします。これがホメオスタシスです。そのため、交感神経優位の状態は、一般的には一時的なものです。多くの場合、休息をとったり、リラックスすることで副交感神経が優位になります。そして、交感神経と副交感神経のバランスがとれると、心身ともに安定した状態になります。

逆に、交感神経と副交感神経のバランスが悪く、どちらか一方が優位の状態が長期化すると、心身のバランスを崩してさまざまな不調となって現れてきます。
例)自律神経失調症、慢性疲労、うつ病、躁状態など。

このように、自律神経は体への影響だけでなく、こころ(感情)にも大きな影響を与えます

②内分泌

人間の体が発達していくには、適切な時期に適切な量のホルモンが分泌される必要があります。内分泌器官(下垂体、副腎など)からホルモンが分泌されると、血液循環によって全身の標的器官に運ばれます。ホルモンが標的器官の機能を刺激してスイッチをオンにすることで、代謝・生殖・免疫などの機能を調節しています。

ホルモンは数種類あり、成長ホルモンや性ホルモンなどが有名ではないでしょうか。ストレスに関連するホルモンは、副腎皮質ホルモンです。

③免疫

私たちは、細菌やウイルスと共存しながら日々生活しています。しかし、それらが増殖して人体に悪影響が出たり、人にとって有害な細菌やウイルスが体内に侵入した場合、そのような外敵から体を守る働きがあります。それが免疫です。

ストレスが長期化してホメオスタシスの3大システムのバランスが崩れると、色々な病気にかかりやすくなります。うつ病をはじめとする精神疾患や、がんをはじめとする身体疾患などです。

現代社会の闘争-敗走反応

最後に、闘争-敗走反応の理論を現代社会に当てはめて再考してみたいと思います。まずは、現代社会のストレス状況の特徴について考えてみましょう。

ストレスが一時的ではなく、長期にわたることが多い。

ストレスと戦うことも、逃げることもできない状況が多い。

これらの特徴から、ストレスが慢性化しやすいと同時に、自分自身の身を守る従来の方法(戦う、逃げる)が適応しにくいということが浮かび上がってきます。また、現代社会ではストレス状況に直面したときに相手と戦ったり、逃げたりすることは社会的に不適切な行動として見なされ、その行動自体が問題視されることもありえます。ここで、2つの具体例を見てみましょう。

例1)社会人が上司から理不尽なことで叱咤されたとき、上司に楯突いて文句を言うこともできなければ、その場から逃げ去ることもできない。そして、このような状況は上司や本人が異動や退職にならない限り、継続的に維持され慢性的なストレス状況に置かれる。

例2)学校でクラスメイトに悪口を言われることが続いていて、クラスに行くのが怖い。一人で立ち向かっていって言い返す勇気が出ない。本当は学校を休みたいけど、親からは「学校に行くように」と言われる。

このように、実は現代社会では闘争-敗走反応の理論をそのまま適応することが難しいと言えます。そして、解決できないままストレス状況が長期化することで、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、自律神経失調症の状態になることもあります。

では、現代においてストレスにどのように対処していけばよいのでしょうか。この点は、今後のブログでお話しをしていきたいと思いますので、お待ちいただけると幸いです。

カウンセラー
やまもと

第3回目は、ホメオスタシスの3大システムについて取り上げました。普段私たちが3大システムを意識することは少ないですが、ストレスが長く続くことで何らかの症状が出たり、体調不良になったときに感じることがあるのではないでしょうか。

第4回目は、引き続き「ストレス」をテーマに、「ホメオスタシスの3大システム」についてさらに詳しくお話しする予定です

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。ブログの内容に関する質問・感想、取り扱ってほしいテーマなどは、お問い合わせフォームよりお願いしますにゃ!

おまけ:ストレスの対処法の一つに、動物とのふれ合いが効果的と言われています。実際に撫でるなどのスキンシップはもちろん、眺めるだけでもストレス低減効果があるそうです。動物が難しい場合は、ヌイグルミを抱きしめたり、肌触りのよいブランケットにくるまれるなどもお勧めです。子ども時代、そのようにして無意識のうちにストレスを和らげていたかもしれないですね。

撫でたい!でも、見つめるだけでもストレスが減っていく・・・そして相手(ねこ)も自分に好意を寄せていれば、スキンシップを取ることでストレスが減るという研究結果があります(=^・^=)