第5回目【ストレスの歴史③ストレスとストレッサー(セリエ)】

カウンセラー
やまもと

こんにちは。紫竹カウンセリングオフィスのカウンセラー山本春香です。ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

このブログでは、主に「こころと体の健康」をテーマに、日々の生活の中で役立つトピックスをお伝えできればと思っています。ときどき、ちょっと難しい専門的な内容もありますが、ブログに登場する猫たちと一緒にお付き合いいただければと思います。ブレインストーミングも行いますので、お時間のある方はぜひ取り組んでみてくださいね。

第4回目は、生物の生命維持やストレスに関係しているホメオスタシス(恒常性)の3大アラーム(自律神経、内分泌、免疫)について、フローチャートを見ながら詳しく解説しましたね。第5回目は、ストレスの歴史に戻ってお話ししていきたいと思います

その前に、ブレインストーミングをしてみるにゃ!

ブレインストーミング

あなたは、「ストレス」から、どのような言葉を想像・連想しますか?正しい・間違っているという判断基準はありません。むしろ、どれだけ多くの言葉を書き出せるかがポイントですよ。今回は時間を区切って行ってみましょう。思い浮かんだ言葉を紙に書いたり、スマホに入力してみてください。それでは、3分間「ストレス」のブレインストーミングをスタート!

いかがでしたか?何個の言葉が思い浮かんだでしょうか。「ストレス」のブレインストーミングの振り返りは、最後に行いたいと思います

さて、ストレスの歴史に戻りたいと思います。第2回目では、ストレスの研究が生理学の分野からスタートしたことをお話ししました。今回はその続きになります。

学術的に「ストレス」という言葉が用いられるようになった!

アメリカの生理学者キャノンが闘争-敗走反応とホメオスタシスを提唱してから40年以上が経過した1974年、カナダの生理学者セリエ(H. Selye)が「ストレス」を専門用語として使用しました。ここでのストレスとは、バランスの崩れたホメオスタシスを維持できない生物の生理的な「ひずみ」のことを指しています。

生物にはホメオスタシスが備わっていて、環境の変化に対して適切に反応することによって、体内のバランスを維持しようとします。しかし、生物にとって有害な刺激にさらされると、ホメオスタシスのバランスが崩れた状態になります。体温がその一例です。雪山で遭難するようなことがあれば、体温を一定に保つことはできませんよね。

専門的には、ストレス≠ストレッサー

続いてセリエは、ストレスの原因となるものストレッサーと呼びました。ストレッサーは、ストレスを引き起こす外部環境からの刺激のことです。専門的にはストレッサーとストレスは異なる意味ですが、日常生活ではストレッサーのことをストレスと呼んでいますね。例えば、「今日は苦手な人と会うからストレス」と言ったりしますが、専門的に表現すると「苦手な人と会うことは、自分にとってのストレッサーになっている」となります。

ストレッサーには4種類ある!!

さらにセリエは、ストレッサーには、物理、化学、生物、心理の4種類があることを提唱しました。ここで注目してほしいのは、①ストレスの原因であるストレッサーは複数存在すること、②心理的なストレスが登場したことです。私たちは日々の生活の中で、心理的なストレスだけでなく、物理、化学、生物的なストレスからも影響を受けているのです。

具体的に考えてみましょう。例えば、真冬に学校/職場に行くことがしんどいとします。この場合、どのようなストレッサーがありそうでしょうか。自分の経験を思い出したり、想像しながら、物理、化学、生物、心理の4種類のストレッサーを考えてみてください。以下は例になります。

物理日照時間が短い、満員電車、通学/通勤時間の長さ、宿題/業務量の多さ
化学周囲からの苦手な香り(化粧品、合成洗剤など)、薬の副作用、手指アルコールの刺激
生物体の冷え、肌や喉の乾燥、肩こり、体調不良、ウイルスの流行
心理人間関係の気疲れ、周りからの期待によるプレッシャー、ちゃんとしないといけないという緊張

同じストレス状況でも、人によってストレッサーは異なります。まずは自分のストレッサーを知ることが大事です。そうすることで、ストレッサーを事前に回避したり、対策したり、受け入れたりすることにつながるからです。また、身近な人のストレッサーを考えてみたり、話し合ってみることも、お互いを理解する良い機会になるかもしれません。

ブレインストーミングの振り返り

カウンセラー
やまもと

最後に、「ストレス」のブレインストーミングの振り返りを行っていきましょう。今回はセリエが提唱したストレッサーの種類に基づいて、想像・連想した言葉を物理、化学、生物、心理の4つのカテゴリーに分類してみましょう。例えば、このような感じです。

物理やることが多い、人混み、電磁波、放射線、騒音、酷暑
化学薬、化学調味料、化粧品、合成洗剤、農薬、酸性雨、有害な化学物質
生物疲れ、体の痛み、体調不良、不眠、休養する、細菌、ウイルス
心理イライラ、不安、落ち込み、プレッシャーに感じる、気疲れ、悩む、気合い、向上心、成長の機会と捉える

各カテゴリーに何個の言葉が入りましたか?大学の授業で、千人以上の学生にこのブレインストーミングを行ってもらいました。その結果、ほとんどの学生が「ストレス」から想像・連想した言葉は心理的なものでした。それほどまでに私たちの生活には心理的なストレスが多く、身近なものとして感じているということでしょう。

しかし、もう少し状況を広い視点で見てみると、ストレスには物理、化学、生物的な要因もかかわっていることに気付きませんか。このような広い視点をもって、自分や他者のストレスの理解に役立ててください。

「最近しんどいなぁ」と感じたら、4つのストレッサーをノートなどに書き出してみるのもお勧めです。客観的に自分のストレスの状況を知ることで、対処方法が見えてきたり、気持ちに変化が生まれることがありますよ。実際、私もカウンセリングでお話をお聞きするときは、心理的なストレス以外にもストレスがないか確認をして、整理をしていきます。

カウンセラー
やまもと

第5回目は、「ストレス」や「ストレッサー」を説明しました。セリエは生理学者ですが、初めてストレスに心理的な観点を導入した人物です。その背景には、時代の変化があったと思われます。1970年代は各国で産業が発展し、物が豊かになっていくと同時に、新たなストレッサーが増えていきました。公害による大気汚染や公害病、競争社会におけるプレッシャーや挫折などです。もしかすると、50年後には新しいストレッサーのカテゴリーが生まれているかもしれませんね。

第6回目は、引き続き「ストレス」をテーマに、「セリエのストレス理論」についてお話しする予定です

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。ブログの内容に関する質問・感想、取り扱ってほしいテーマなどは、お問い合わせフォームよりお願いしますにゃ!

おまけ:セリエの名言「ストレスは人生のスパイスである(Stress is the spice of life)」
一時期、ストレスフリーという言葉が流行しました。しかし、全くストレスのない生活を送ることは不可能ですし、そのような生活は刺激がなく、味気ないものになるでしょう。また、適度なストレスは努力や向上心などを育み、自信にもつながります。スパイスのない人生はどこかつまらないもので、いい具合にスパイスの効いた人生は旨味もあり、奥深いものでもあることを伝えてくれているようです。そして、人それぞれ違ったスパイスを経験することで、その人独自の人生が形づくられるのです。

スパイスは入れ過ぎに注意してね!