第7回目【ストレスの歴史④一般適応症候群補足:巨大地震の例】

やまもと
こんにちは。紫竹カウンセリングオフィスのカウンセラー山本春香です。いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
このブログでは、主に「こころと体の健康」をテーマに、日々の生活の中で役立つトピックスをお伝えできればと思っています。ときどき、ちょっと難しい専門的な内容もありますが、ブログに登場する猫たちと一緒にお付き合いいただければと思います。今回はワークも行いますので、お時間や気持ちにある程度ゆとりがある方は一緒に取り組んでみてください。
第6回目は、セリエが提唱したストレス理論のうち、一般適応症候群の経過を解説しました。第7回目はその具体例として、自然災害時の一般適応症候群の経過を一緒に考えていきたいと思います。

人が長期間ストレッサーを受けると、体の中でいろいろな反応が起こって、ストレッサーに対処しようと頑張るんだったね。まずは架空の事例をもとに、ワークをしてみよう。ただ、巨大地震が起きたときの自分の状態をイメージするから、過去にトラウマがあったり、不安や恐怖を感じた場合は控えるようにしてね。
ワーク
自然災害は、誰もが経験する可能性のある大きなストレッサーです。今回は架空の大規模地震をとおして、一般適応症候群の経過を具体的に考え、災害のストレスへの理解と対処について検討してきましょう。
架空事例)202X年12月X日(月)午前11時
あなたが住んでいる地域付近の海底を震源とする震度7の巨大地震が発生しました。津波の影響が大きく、内陸の河川も氾濫し、住宅の浸水被害が生じています。電気・ガス・水道・鉄道などのライフラインは全く機能していません。
ワーク)自分に当てはめて考えてみましょう
あなたは地震発災時、どこにいましたか?一般適応症候群の①~③の各時期において、どのような(1)状況、(2)感情、(3)行動をとると思うかを想像してみましょう。また、(4)ストレッサーを軽減するために必要な物や人も併せて考えてみましょう。
①警告反応期ショック相(地震発災1日目)➡反ショック相(地震発災2日目)
②抵抗期(地震発災3日目~3カ月目)
③疲はい期(地震発災3カ月目以降)
ワークの振り返り
今回は、「地震発災時、自宅から電車で20分のビルの5階でデスクワークをしていた」という状況で考えてみたいと思います。イメージしやすいように、一般適応症候群の経過の図も再度見ておきましょう。

①警告反応期ショック相(地震発災1日目)
(1)状況
ビルが大きく横揺れし、色々なものが飛んだり、落ちたりした。津波警報が鳴り、5階から津波がやってくるのが見えた。2階まで津波が到達。会社で一夜を過ごすが、全く眠れない。
(2)感情
恐怖、不安、怯え、絶望感、非現実感。
(3)行動
茫然自失。動くことができない。家族や友人の安否が心配だが、知るのも怖く、連絡が取れない。同僚と最低限の会話。泣いている人もいたが、何と声をかけてよいかわからなかった。
(4)必要な物・人
現状や安全を確保するための正確な情報。家族や友人からの連絡。
①警告反応期反ショック相(地震発災2日目)
(1)状況
津波が引いて、高い建物以外は流されている。住んでいた街が一変したことを改めて目の当たりにする。窓から手を振ったり、救助を要請する人たちの姿が見える。上空ではヘリコプターやドローンが飛んでいるのが見える。ライフラインは全て途絶えている。
(2)感情
衝撃、現実感、不安、心配、焦り、イライラ。
(3)行動
何をしてよいかわからないが、現状を把握するために情報を集めようと動き始める。ラジオなどでライフラインの確認。同僚と声をかけ合って、できることを探そうとする。余震に敏感になっている。眠りが浅い。
(4)必要な物・人
行動するためのエネルギーとなる食料や水分、甘いもの。真冬で停電しているため、毛布やカイロ、温かい飲み物などの暖を取れるもの。励まし合ったり、一緒に情報収集をすることができる人。適切な指示や安心感を与えてくれる上司や先輩。
②抵抗期(地震発災3日目~3か月目)
(1)状況
人々の動きが活発化。救助や救援物資などが到着し始める。避難所の情報も入ってくるようになる。道には色々なものが散乱し、信号は止まっている。自宅は津波で2階まで浸水し、住むことが難しい。
(2)感情
気合を入れる、正義感、頑張る、我慢、気遣い、平等意識、連帯感、焦り、怒り、不安、心配、疑い、罪悪感、後悔。
(3)行動
方向を頼りに、自宅まで数時間かけて徒歩で帰宅するが浸水で住めないことがわかった。避難所を見つけ、仮の生活が始まる。家族や友人を探すため、避難所などで情報を集める。日々の生活を送ることに集中し、少しでも快適さを求めて協力したり、改善策を提案したり、必要なものを訴えるが、我慢の方が多い。
(4)必要な物・人
避難所、地元の正確な情報、救援物資、行政の支援、今後の見通し。励まし合える人、協力し合える人、愚痴を言い合える人。
③疲はい期(地震発災3か月以降)
(1)状況
安否がわかる人とわからないままの人がいる。避難所で生活し続ける人と、他の場所に移る人に分かれていく。電気・ガスなどのライフラインが復旧し始める。
(2)感情
疲れ、不安、憂鬱、喪失感、見捨てられ感、孤立感、疎外感、嫉妬、絶望、罪悪感。
(3)行動
避難所での生活が長期化し、この先の見通しが立たず、意欲が低下して動く気力がなくなってくる。安否不明の家族や友人を探し続けるが、情報がないまま日が過ぎる。次第に人と話したり、顔を合わせることを避けるようになる。アルコールの摂取量が増える。
(4)必要な物・人
長期的な住まいや仕事。行政の支援、今後の見通し。気持ちを共有できる人との定期的な交流。楽しみ。

やまもと
いかがだったでしょうか。第7回目は、セリエが提唱した一般適応症候群について、自然災害を例にその経過を説明しました。同じ状況を体験しても、人によって抱く感情や取る行動が異なります。津波を前に、言葉を失う人、テンションが上がって叫ぶ人、動画を撮影する人、泣いている人に優しく声をかける人、直視できない人など、実にさまざまです。不謹慎な言動と見られる反応もありますが、本人にとってはそれがストレッサーへの対処として働いていることがあります。辛いときほど、自然に笑う人もいるのですね。

人によって、必要なものも違うね!自分にとって大切なものや欠かせないものは何か、今一度考えてみてみよう。命をつなぐ食料や水、安全を確保するヘルメットやライトの他、お守りになるようなものを持ち歩くことにも意味があるよ。おやつも、ほっとできていいね。推しのアイテム、大切な人からの手紙、好きな香りなど、自分のこころや体を癒してくれるものを探してみよう。
第8回目はストレスの歴史に戻って、「ラザルスのストレス理論」についてお話しする予定です。

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