第2回目【ストレスの歴史①闘争-敗走反応(キャノン)】

カウンセラー
やまもと

こんにちは。紫竹カウンセリングオフィスのカウンセラー山本春香です。ブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回が2回目のブログになりますが、早速1回目のブログを読んでいただいた方がいるようで、とても嬉しかったですし、大変励みにもなっています。

このブログでは、主に「こころと体の健康」をテーマに、日々の生活の中で役立つトピックスをお伝えできればと思っています。ときどき、ちょっと難しい専門的な内容もありますが、ブログに登場する猫たちと一緒にお付き合いいただければと思います。

第1回目は「メンタルヘルス」がテーマでしたね。「メンタルヘルス」のブレインストーミングでは、多くの人が「ストレス」を連想・想像するようです。そこで、第2回目は「ストレス」をテーマにお話ししていきたいと思います

「ストレス」は身近な言葉になっているね。あなたは、何歳くらいから「ストレス」を感じるようになったかな?

カウンセラー
やまもと

私が大学で「メンタルヘルス」の授業を担当していたときに、ストレスを感じるようになった年齢を大学生に聞いたところ、小学校高学年~中学校と答えた人が45%でもっとも多かったです。また、就学前と答えた方も10%いました。もちろん、ストレスをまだ感じたことがない、もしくはよくわからないという人もいると思います。まずは、「ストレス」とは何かを知ることからはじめていきましょう。

さて、私たちが日常的に用いている「ストレス」とは、そもそもどのような考え方から始まったのでしょうか。今回は古典的なストレスの理論を学びながら、その歴史を理解していきたいと思います。

ストレスは色々な分野で研究されてきたけど、その始まりは「心理学」や「精神医学」ではなく「生理学」だったよ!

ストレスの研究は、生理学の分野からスタートした!!

「ストレス」と言えば、現代社会では精神的なストレスを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、ストレスの起源は精神的なものではなく、生理学的なものでした。生理学は、私たち人間を含めた生物の体内で起こるさまざまな生理的なプロセスやメカニズムを解明する学問です。簡単に言うとすれば、体を対象として、その機能を研究する学問分野になります。そのため、ストレスの研究は心理学者ではなく、生理学者から始まったのです。

ワンポイント解説💡

「ストレス」という言葉は、元々「物理学」の分野で「ひずみ」を表す言葉として用いられていました。アメリカの生理学者キャノン(W.B. Cannon)は、1914年にこのストレスという言葉を生理学や医学の分野で初めて使用しました。キャノンが提唱した「ストレス」とは、生命体の生理学的な現象のことを指しています。

キャノンのストレス理論

1932年、キャノンは「闘争-敗走反応(fight-or-flight response)」を提唱しました。動物が危険に直面した時、その危険と戦う、もしくは逃げるために身体器官の活動を高める状態のことです。

人間の歴史を遡ると、「生きるか死ぬか」のような生命体の存続危機の時代が長くありました。いつ他の動物に襲われるかわからない、いつ大雨で河川が氾濫して家屋が流されるかわからないなど。また、キャノンが「ストレス」という言葉を用いた1914年は、世界中で戦争が起こっていた時代でもあり、いつ命を亡くすかわからないような状況にありました。そして、ストレスフルな状況と戦うか、あるいは到底適わない相手の場合は逃げるかといった2択によってストレスに対処していました。

闘争-敗走反応の状態にあるとき、体には変化が生じます。この体の変化は、人間を含む動物において共通しています。以下のような体の変化が起こり、瞬時にストレスフルな状況に対応する準備をしています。
・心臓:大量の血液により、全身の筋肉に糖と酸素を送る。
・呼吸:速くなり、酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する。
自律神経:緊張や不安、恐怖の状態にある時、交感神経が優位に働く。胃腸の消化活動は低下し、血糖値・血圧の上昇などが生じて過覚醒モードになっている。

ワンポイント解説💡

闘争-敗走反応の状態にあるときの体の変化を具体的に考えてみましょう。ここでは、3つの例を挙げてみます。いずれもストレスに対応しようとして、過覚醒状態になっています。

例1)動物が天敵に遭遇したとき
天敵と戦うにしても、逃げるにしても、相当のエネルギーが必要。動物は身体器官の活動を一気に高めることで、危機的状況に対処しようとする。状況を見極めるために、五感を鋭く働かせる。瞳孔を開き、しっかりと天敵の姿を捉える。天敵の少しの動きにも察知できるように、聴覚を研ぎ澄ます。匂いにも敏感になり、嗅覚によって天敵の場所を定める。

例2)大勢の前での発表
緊張しており、呼吸や脈が速くなったり、体が硬直して力が入る

例3)大地震
地震を体験した後、何が起こったか把握しようと瞳孔が開き、余震が起こった場合に素早く身を守ろうと、周囲の異変に過敏になっている。少しの物音に反応したり、夜に目が冴えて眠れなかったりする

カウンセラー
やまもと

第2回目は、ストレスの起源について取り上げました。まとめると、ストレスの理論は精神的なものからスタートしたのではなく、危機的状況に直面したときに生じる体の反応からスタートしました。このことを知っておくと、ストレスにおける「こころと体の密接なつながり」の理解がスムーズになると思います。

第3回目は、引き続き「ストレス」をテーマに、「ホメオスタシス」についてお話しする予定です

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。ブログの内容に関する質問・感想、取り扱ってほしいテーマなどは、お問い合わせフォームよりお願いしますにゃ!


おまけ:ねこの闘争-敗走反応 (=^・・^=)

天敵に遭遇したら・・・

戦う!?逃げる!?

ときに激しい戦いを繰り広げ

ときに一目散に逃げる

自分にとって危機的状況に直面したときには、逃げることも大事な選択肢の一つです。その見極めが何もよりも求めれられる時代なのかもしれないと感じています。