第10回目【ストレス・コーピング②リラックス系の科学的な効果】

カウンセラー
やまもと

こんにちは。紫竹カウンセリングオフィスのカウンセラー山本春香です。いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

このブログでは、主に「こころと体の健康」をテーマに、日々の生活の中で役立つトピックスをお伝えできればと思っています。ときどき、ちょっと難しい専門的な内容もありますが、ブログに登場する猫たちと一緒にお付き合いいただければと思います。

第9回目は、ストレスへの対処法(ストレス・コーピング)とその種類について解説しました。第10回目もストレス・コーピングをテーマに、その科学的な効果についてお話ししていきたいと思います。今回は、リラックスを目的としたストレス・コーピングに焦点を当てていきます。

ストレス・コーピングには、ストレス反応(体の反応や感情)を軽減する作用があるんだったね。自律神経との関係で分類してみると、副交感神経を優位にするリラックス系と、交感神経を優位にする発散系に分けることができるよ。

カウンセラー
やまもと

例えば、自分がやや温いと感じる温度でゆっくり入浴をすると副交感神経が働いて、こころも体もゆったりしてくると思います。逆に、熱いと感じる温度でさっとシャワーを浴びると、スッキリしてやる気が出てきませんか。

このように、ストレス・コーピングの種類と自律神経には密接な関連があるのです。今回は、副交感神経を優位にするリラックス系のストレス・コーピングの科学的な効果について見ていきましょう!

リラックス系のストレス・コーピングの効果

①寝る

「嫌なことがあった日は、ふて寝をする」。あなたも、そのようなことを経験したことがありませんか。ドラマや漫画でよく見られるストレス・コーピングの描写です。

人はストレスを感じると、そのダメージを回復するために自然と眠るというメカニズムが備わっているのです。質の良い睡眠はストレス・コーピングとして非常に有効で、その効果は多数の研究結果からさまざまな面に現れることが見出されています。
例)脳と身体の疲労回復、ストレス耐性の強化、生活習慣病と精神疾患の予防、集中力向上など。

仕事や子育てなどで夜間の睡眠時間が十分に確保できなくなった場合、15~20分程度の昼寝を取り入れるのも有効とされています。

また、不安やイライラで眠れない場合は、以下のようなことを試してみることをお勧めしたいです。
体を温める(ぼーっと入浴する、ストレッチ、カフェインレスのホットドリンクを飲む)
ゆっくりと深い呼吸をする
好きな香りをかぐ
肌触りのよい毛布やヌイグルミなどを抱きしめる
いずれも、五感をとおして自律神経の副交感神経を働かせる行為になります。毎晩、寝る前に決まった行動をしていると、脳が「睡眠のサイン」として記憶するので、眠りやすくなりますよ。このような行動を入眠儀式といいます。絵本を読んだり、子守唄を歌って子どもを眠りに誘うのが、まさに入眠儀式です。もしかすると、あなたにも入眠儀式があるかもしれませんね!

②音楽を聴く

音楽は、多くの人が生活の中で手軽に楽しめるものの一つではないでしょうか。頑張りたいときには応援ソングを、恋が実らなかったときは失恋ソングを、気持ちが落ち込んだときは支えになるソングを自然と聴いていませんか。

音楽にはいろいろな要素があります。曲のテンポ、音色(楽器)の種類、音程、歌詞の意味、歌い手の感情表現、映像(ミュージックビデオ)などが組み合わさって、聴いている人の思考・感覚・感情・身体などに働きかけているのです。
例)思考が強いときは歌詞の内容を考える、感覚が強いときは心地さを感じる、感情が強いときは涙が出る、身体が強いときは曲に合わせて体を動かす。

音楽は、生きていく上で必要不可欠なものではないかもしれません。しかし、音楽の歴史は大変古く、紀元前とも言われています。「1/ f ゆらぎ」という言葉を聞いたことがありますか。波の音やキャンプファイヤーの炎は、不規則で予測不可能な動きをしています。このようなゆらぎ方を表す周波数を1/ f ゆらぎといいます。

人間は機械のように規則正しいリズムで生きているわけでなく、常に何らかのゆらぎが生じています。自然の中で過ごすとリラックスするのは、自然界にある1/ f ゆらぎと自分の中にあるゆらぎが同調して、自律神経のバランスが調整されるためと考えられています。雨音や暖炉のBGMが人気な理由も、この1/ f ゆらぎが関係していると言えそうです。

そして、音楽にも1/ f ゆらぎが存在しているようです。自分が好んで聴く音楽は、自分の中のゆらぎが求めているからなのかもしれません。自分の感情や状況によって聴く音楽が変わることも、自分の中のゆらぎが変化していると捉えると妙に納得がいきませんか。

話しが長くなりましたが、音楽にはストレス発散、感情の安定、リラックス、集中力向上などの効果があるとされています。心地よく感じる音楽は人それぞれ違うため、自分に合う音楽を探すのも楽しいと思います。

私はストレス・コーピングとして音楽を聴くことが多いのですが、テーマ別のプレイリストを作成しています。そうすると、すぐにストレスに対処する行動に移ることができるのでスムーズです。プレイリストは新たに曲を追加したり、聴かなくなった曲を削除して、そのときの自分が求めているものに更新しています。

③親しい人と話す

ストレッサーが長期化すると、体内では副腎皮質からストレスホルモンのコルチゾールが分泌されます。そして、ストレッサーに対処できない状態が続くと、ストレス状態から体を守り続けるために、コルチゾールが過剰に分泌されます。最終的にはエネルギーが消耗して、心身ともに疲労が蓄積していきます。
※詳しくは、第4回目のホメオスタシスの3大システムをご参照ください。

嫌なことや悲しいことがあったとき、誰かに話を聞いてほしいと思うことはありませんか。信頼している親しい人と会話をすると、脳の視床下部からオキシトシンというホルモンが分泌され、コルチゾールの分泌が抑制されます。オキシトシンは、別名幸せホルモンとも呼ばれており、以下のような作用があります。
・闘争心や恐怖心が減少する
ストレスを和らげる
・ストレスを感じても血管を弛緩状態に保つため、血圧が上がらない
・ストレスによって上昇した血圧を下げる
・オキシトシンの受容体が心臓にあり、心臓の細胞を再生し、ストレスで起きるダメージを治す

親しい人との会話以外でも、見つめ合う、手をつなぐなどのスキンシップ、マッサージに行く、動物を撫でる、なども同様の効果があるとされています。ITの普及や感染症の流行などによって、社会全体においてもスキンシップが減りつつありますが、実際に会ってコミュニケーションを取ったり、触れ合うということがストレスの低下や幸福感につながるようです。

人と直接会って話すことが難しい状況、もしくは人と話すことが逆にストレスになる人は、抱き枕やブランケットなど肌触りのよいものに触れて心地よさを感じてみてください。同様に、オキシトシンが分泌されるそうです。

子どもの頃、肌身離さず持っていた愛着のあるヌイグルミや毛布などはありませんでしたか。まさに子どもは、母親や養育者といることの安心感や愛情の代わりに、これらのものをストレス・コーピングとして用いているのです。発達心理学の分野では、ヌイグルミや毛布など乳幼児が愛着を抱く特別なもの移行対象と呼んでいます。

成長とともに移行対象を手放し、卒業していくことが多いですが、中には子どもの頃からずっと大切にしているものがある人もいると思います。もし、そういったものがない場合は、子どもの頃に安心感を抱いていたものや、好きだったものを思い出してみるのもいいかもしれません。写真を見ると、移行対象が写っていることもありますよ。

カウンセラー
やまもと

第10回目は、リラックス系のストレス・コーピングの科学的な効果についてお話ししました。いかがだったでしょうか。

第11回目は、引き続き「ストレス・コーピング」をテーマに、発散系のストレス・コーピングの科学的な効果についてお話しする予定です

今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。ブログの内容に関する質問・感想、取り扱ってほしいテーマなどは、お問い合わせフォームよりお願いしますにゃ!

おまけ:ねこ同士も、親しい間柄ではスキンシップで交流する姿が見られますね。この鼻同士をくっつける挨拶、実はねこと人との間でも起こります!お互いに幸せを感じる関係を大事にしていきたいですね。